ディレクターが10案件を同時に回しても破綻しない仕組み——複数案件マネジメントの実践設計

「今、何案件抱えてます?」と制作ディレクター同士で話すと、平均で8〜12案件という答えが返ってきます。多い人だと15を超えていて、それでも何とか回している。この数字、業界の外にいる人が聞くと「正気じゃない」と返されるレベルですが、現場では当たり前の感覚です。 ただ、その「何とか回している」状態は、ある日いきなり崩れます。1案件で大きな差し込みが入った瞬間に、他の9案件のスケジュールが連鎖的に狂う。誰かが体調を崩した瞬間に、その人が抱えていた案件のステータスが見えなくなる。月曜の朝、自分が今日何をやるべきか3秒で言えない——こういう状態になってから慌てて対策を打つ会社が、私の周りにも本当に多いです。 私自身、ディレクターとして10案件前後を並列で回す日々を続けてきて、最終的に「気合いと記憶力では限界がある」という、書いてみると当たり前の結論にたどり着きました。この記事では、複数案件マネジメントが破綻する典型パターンを整理しつつ、ツール側で何を備えておくと事故が起きにくいかを、現場感覚で書いていきます。

ディレクターが10案件を同時に回しても破綻しない仕組み——複数案件マネジメントの実践設計

「マルチタスクが得意」と言える人は、たぶんいない

最初に書いておきたいのは、マルチタスクは個人スキルでカバーできる範囲を超えています。

Backlogが2021年に出した記事でも触れられていますが、いわゆるマルチタスクは脳が並列処理しているわけではなく、シングルタスクの高速切り替えに過ぎません。切り替えコストはタスクごとにかかりますし、コンテキストスイッチが多いほど集中力は削られます。

私の体感でも、案件Aの校正中に案件BのSlack通知が鳴って対応して、戻ってきたときに案件Aで自分が何を考えていたか思い出すのに5分かかる、というのは日常風景です。これを1日10回やれば50分が単純に消えます。週に250分、月に1000分。個人の集中力の問題というより、業務の組み立て方の問題として捉えたほうが正確です。

つまり、組み立てを変えれば改善の余地は大きい、ということになります。


複数案件管理が破綻する、現場でよくある4つのパターン

破綻には必ず兆候があります。私が関わってきた制作現場で見聞きした話を含めて、代表的なパターンを書き出します。

パターンA:タスクが3カ所以上に散る

案件AはSlackで依頼が来て、案件Bの修正指示はメールで届いて、案件Cの追加発注はクライアントの電話で——というディレクターを、これまで何人も見てきました。本人は「全部頭に入っています」と言うのですが、必ずどこかで漏れが出ます。

特に怖いのは、漏れたことに本人が気づかないまま納期だけが過ぎていく場面です。クライアントから「あの件、進んでますか?」と聞かれて初めて発覚する、というやつです。

これはツールの問題というより、「タスクの入り口を絞る」という運用ルールが決まっていないことが原因です。10年ディレクターを続けている人でも、ここを徹底できていない人は多いです。

パターンB:今日何をやるか、毎朝迷う

朝の30分、メールとSlackをひと通り確認して、「さて、今日は何からやろう」と考え込む——この時間、ディレクターの集中力ピークが消費されています。

10案件分のタスクがバラバラの場所にあると、それを統合して優先順位をつける作業に毎朝エネルギーを使います。判断疲れが午前中に来るので、午後の仕事の質が落ちます。これは個人の段取り力の問題というより、「優先順位がつく形でタスクが並んでいない」という設計の問題です。

パターンC:締切が他案件と競合してから気づく

これも本当に多いです。案件Aの大型納品の前日に、案件Bのデザイン中間確認が来る。本来Aに集中したい日に、B側のフィードバックを返さないとB側が止まる。こういう競合は、月のうち何度も発生します。

問題は、競合に気づくのが「前日」になりがちなことです。1週間前に気づければ、Bの中間確認を前倒しでもらうとか、Aの仕上げを別ディレクターに分担するとか、打てる手があります。前日に気づくと選択肢がほぼゼロです。

パターンD:他チームメンバーの忙しさが見えない

チーム内で複数ディレクターがいる場合、隣の席の同僚が今どれくらい余裕があるかを把握できているケースは少ないです。新規案件の差し込みが来たとき「これはAさんに振ろう」と思っても、Aさんが今すでに修羅場の最中だと知らずに渡してしまう。渡された側は心の中で泣いています。

これは個人の配慮の問題というより、誰が今どれくらい抱えているかを見える化する仕組みがチームにないと起きる、構造的な事故です。


横断管理に必要な4つの装備

ここからは、上記パターンを構造的に防ぐためにツール側で揃えておきたい装備を書きます。私自身、複数のツールを試した結論として、この4つが揃っていないツールは複数案件管理には正直向きません。

装備1:案件横断のタスクが一画面で見えるダッシュボード

「自分が抱えている全タスク」を案件横断で1画面に並べられる、というのが最低条件です。これがないと、案件ごとにツールの中を行ったり来たりして、毎回コンテキストスイッチが発生します。

理想は、自分のタスクだけでなくチームメンバーのタスクや、案件全体の進捗バーも同じ画面に出ることです。これがあると、朝の判断疲れが大幅に減ります。

LOGLIKEにはダッシュボード機能があって、自分の担当タスク・全案件の進捗・締切が近いものを横並びで表示できる作りになっています。私はここを朝イチに開いて、その日の優先順位を組み立てる習慣にしています。

装備2:「あとで対応」の受け皿

今すぐではないけど忘れてはダメ、というタスクが必ず発生します。これを通常のタスクリストに混ぜると、本当に今日やるべきものが埋もれます。

別の場所に「あとで対応」リストを持つこと。個人のメモアプリでも代用できますが、案件と紐づいて管理されるほうが圧倒的に強いです。LOGLIKEの「あとで対応」機能は案件ごとに紐づけたまま保留できる作りになっています。私はここに溜め込みすぎて、月末に一度棚卸しをするのが習慣になりました。逆に言えば、棚卸しをすればちゃんと回収できる場所がある、というだけで安心感が違います。

装備3:締切前の自動リマインドと予兆検知

人間が「3日後に締切が来る」と気づけるのは、その締切が記憶に残っているときだけです。10案件を同時に抱えているとき、すべての締切を頭に入れておくのは無理です。

ツール側で締切3日前・前日・当日に通知が出る設計が必要になります。さらに進んで、進捗状況から「この案件、このペースだと間に合わない」を予兆として出してくれるAI機能があると、対応の判断が前倒しできます。

LOGLIKEにはAI予告通知という機能があって、締切前のリマインドと進捗の予兆を出してくれます。最初は「通知がうるさい」と感じる人もいますが、慣れてくると「これがないと回らない」に変わります。私もそうでした。

装備4:複数案件のガントチャートを縦に並べる

スケジュール競合を「事前」に見つけるには、複数案件のガントチャートを同じ時間軸で見られることが必要です。1案件ずつバラバラのファイルに入っていると、競合の発見は完全に手作業になります。

LOGLIKEはガントチャート機能を持っていて、しかも個別チャートをURLで外部共有できます。社内向けには複数案件を縦に並べて時間軸を揃えて見るビュー、対クライアント向けには個別案件のチャートをURL共有するビュー、という使い分けが自然にできます。クライアント側にアカウントを作ってもらわなくていいのは、地味ですがかなり大きいです。

正直に書いておくと、ガントチャートは引いた直後の精度より、引き直し続ける運用のほうが10倍大事です。週次で更新されないガントチャートは、ただの飾りです。外部共有するならなおさら、見せ続ける覚悟がセットで必要になります。


ツールを入れただけでは解決しない、運用側の3つのルール

装備を揃えても、それだけで複数案件管理は回りません。運用側で決めるべきことが3つあります。

1つ目は、タスクの入り口を1つに絞るルールです。Slackで来た依頼も、メールで来た依頼も、口頭の依頼も、必ずプロジェクト管理ツール上のタスクとして登録してから着手する。これを徹底しないと、装備1のダッシュボードに全タスクが集まりきらず、判断材料が欠けたまま朝を迎えます。「Slack上での依頼は受け付けないので、ツールに起票してください」とクライアントに頼むのは少し勇気が要りますが、一度言ってしまえばあとは慣れます。

2つ目は、毎週1回の棚卸しです。私は金曜の夕方17時から30分を、これに固定で当てています。「あとで対応」リストの中身を見て、今週やるべきだったのに先延ばしにしたものはないか、来週に回すならいつまでに片付けるか、を確認する。この棚卸しの30分があるかないかで、対応漏れの発生率が体感3倍くらい違います。

3つ目は、案件ごとの「優先度」を明示することです。すべての案件を同じ熱量で回すのは無理なので、今月は何が最優先かをチームで合意しておく。優先順位が共有されていないと、ディレクターが個人で抱え込みがちになり、結局チームとして回らなくなります。


まとめ:個人の根性ではなく、装備と運用の話

複数案件マネジメントの話をすると、よく「結局はディレクターの能力次第ですよね」という反応が返ってきます。半分は当たっています。ただ、残り半分は違います。能力差を吸収する装備と運用ルールがあるかどうかで、同じ人が抱えられる案件数は2〜3倍違います。

私自身、装備が揃っていなかった時期は5案件で疲弊していましたが、ダッシュボード・あとで対応・AI予告通知・ガントチャート横並びの4点が揃ってから、10案件でも昔より余裕を持って回せるようになりました。これは個人の成長というより、装備の効果です。素直にそう思います。

複数案件で消耗しているなら、まず自分の装備を棚卸ししてみてください。何が足りていないかが見えるはずです。LOGLIKEは複数案件マネジメントに必要な装備を一式揃えたいディレクター向けに設計していて、無料トライアルを試せます。

高橋 蓮

高橋 蓮

/ Web制作ディレクター

中小企業のコーポレートサイト、採用サイト、LP制作などを中心に、企画から公開後の運用まで幅広く担当。 クライアント対応、原稿整理、デザイナー・コーダーとの連携など、制作現場の橋渡し役として多数の案件に携わってきた。 「結局、誰が何をどこまで対応するのか」が曖昧なまま進む案件ほど、後半でトラブルが起きやすいと感じている。

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